「よく分かっている」

「良佑、君のことはよく分かっているよ」と言った”立場ある教師”は、一度足りとも私に対して理解のない教師を咎めたり、私の肩を持つたりすることはなかった。私はここから大切なことを学んだ。「よく分かっている」人は「よく分かっている」ことをわざわざ示したりする必要はないのである。

卒業を前に礼拝の場で「教師の振る舞い」を批判する機会を持った。これに教師たちは大いに怒っていたと聞く。しばらくして先述の”立場ある教師”から「応接室」に呼ばれる。彼は「俺は良佑が卒業してからこれが教育の成果だ、と言いたかった。先生方も関わり方を見直すべきだ、と言える絶好のタイミングだったのに」と言う。

どうも私は教師の「研修プログラム」だったようだ。生徒を「モノ」化する教師には徹底的に抗っていきたい。

この記事を書いた人

幸田良佑

2003年、山梨県生まれ。2021年、自由学園男子部高等科卒業。同年、東洋大学社会学部第二部社会学科入学と同時にニュースを専門とする番組制作会社に入社するが、1ヶ月を経たずして退職。以降、児童館、放課後児童クラブ、学童保育所、大学図書館勤務を経て特定非営利活動法人TENOHASIに入職。2022年より特定非営利活動法人わかちあい練馬 事務局長・理事に就任。