住まいを得るためには

 ケースワーカーから「アパートは厳しいです。更生保護施設か無料低額宿泊所へ行ってもらいます」と言われていた方がようやくアパート転宅。ケースワーカーがあまりに強引で施設入所を断れない、と言う相談を受け、何度か面接に同行していた。何を聞いても「施設に行ってもらいます」としか言わないケースワーカーに「過去、ご自身でアパートを設定され10年以上も維持されて来たとご本人から伺っていますが、アパートではなく施設とするのはどういう判断ですか?」としつこく問うた。対してケースワーカーは「失業してアパートを退去されたあと、いくつかの職場と寝床(ネカフェ、ビジホ)を点々とされているので」と言う。それとこれとで何がどう関連付いているのかよく分からなかったが、とりあえず「アパートを維持できなくなったのはご本人の生活に起因するものではなく失業によるものですよね?」と詰める。ケースワーカーは「私が決めることではないので…」と返す。

 福祉事務所の文化やケースワーカー個人の考え方、捉え方によって、相談者本人の処遇が大きく異なってくる。そんなことがあって良いのか、と思うが、そんなことが当たり前に起きているのが福祉事務所だ。

この記事を書いた人

幸田良佑

2003年、山梨県生まれ。2021年、自由学園男子部高等科卒業。同年、東洋大学社会学部第二部社会学科入学と同時にニュースを専門とする番組制作会社に入社するが、1ヶ月を経たずして退職。以降、児童館、放課後児童クラブ、学童保育所、大学図書館勤務を経て特定非営利活動法人TENOHASIに入職。2022年より特定非営利活動法人わかちあい練馬 事務局長・理事に就任。